トップページ > 不妊検査治療を希望される方
これから結婚する予定があり、すぐにでも赤ちゃんが欲しいけど大丈夫かしら、何か病気があったら困るのでブライダルチェックもかねて相談してみようかなと思っている方。
結婚して3ヵ月基礎体温もつけて排卵チェックもし、更にアプリも参考にしてタイミングをみているのに妊娠の徴候がない方。
10代から生理不順で排卵していないのではと心配している方。
結婚してから数年ピル等で避妊してきたけどそろそろ妊娠したいと考えている方。
40代だけど妊娠できるか心配な方。
様々な心配事、不安、悩みをかかえていないで一度受診してみたらいかがですか。皆が最先端の高度生殖医療が必要ではありません。医学的サポートのみならず、精神面でのサポートも心掛け、赤ちゃんができるための最短で最適な治療を提供させていただきます。
不妊症の原因検索としての検査をうけましょう
- 基礎体温測定
排卵や黄体機能を評価します。基礎体温が全てではありません。体調によっても変化があり、ガタガタしているからといって不安にならないようにしましょう。
- 超音波検査
子宮筋腫や卵巣嚢腫等器質的病変の有無をチェックします。卵胞発育モニタリングには欠かせません。
- 内分泌検査
黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、エストラジオール(E₂)、乳汁分泌ホルモン(PRL)、プロゲステロン(P₄)、テストステロン(T)、測定をします。P₄は黄体期中期、他は月経周期3~7日目に出来ます。甲状腺機能検査も施行します。
- クラミジア抗体検査又は抗原検査
クラミジア抗体検査(IgG、IgA)の検査をすすめます。特にIgG抗体は既住感染があると陽性が持続し、卵管因子の原因にもなります。治療歴のないIgG陽性例やIgA陽性例は配偶者とともに治療しましょう。
- 卵管疎通性検査
子宮卵管造影検査を施行します。
- 精子検査
男性因子の評価に必要で、治療に先立って実施します。
- 頚管粘液検査
精液頚管粘液適合検査(フーナーテスト、性交後検査)です。超音波検査やホルモン検査より特定された至適検査日に実施します。
- その他の血液検査
ホルモン検査(保険適応)
月経開始2~5日目(3日目前後)に(TSHはいつでもOK)行います。排卵障害の方では卵胞発育がみられない状況ならいつでも測定可能です。生殖機能にとって重要なホルモンを測定します。
- 卵胞ホルモン(E₂)
( )pg/ml(30~60が正常)低値の場合、卵胞発育遅延又は不良の可能性があります。高値では、早期に排卵する可能性があり、卵巣予備能低下のことがあります。
- 黄体化ホルモン(LH)
( )FSHとともに卵胞発育を促し、黄体機能の維持をします。また成熟卵胞からの排卵を起こすホルモンです(LHサージ)。LH単独高値(LH8以上)LH、FSH逆転(LH>FSH)の場合、多嚢胞性卵巣症候群の可能性があります。低値の場合排卵障害の原因となります。
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)
卵胞の発育を促すホルモンです。10mIU/ml以上の場合、卵巣予備能(AMHの方が信頼性高い)の低下の可能性が疑われます。15以上はかなりの低下状態です。周期によって変動あります。
- 乳汁分泌ホルモン(PRL)
( )正常29.32ng/ml以下 高値の場合、FSHやLHの分泌を障害し、排卵障害や黄体機能不全を起こします。著明に高値の場合、脳下垂体腫瘍を認める場合があります。胃薬や心療内科等で処方されている薬の影響でも高値になります。
- テストステロン(T)
( :0.15~0.44ng/ml正常)男性ホルモン過剰の有無の検査です。排卵障害が推定される場合におこないます。多嚢胞性卵巣症候群の診断に有効です。
- 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
( μU/ml:一般成人0.4~4.0だが、妊娠希望女性は2.5以下)甲状腺疾患は自覚症状に乏しいことが多く、妊娠した場合流早産と関連があるといわれています。TSH高値の場合は甲状腺機能低下症、低値の場合は甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病)の疑いがあります。精密血液検査(TSH高値→甲状腺ホルモンFT4、抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体。TSH低値→甲状腺ホルモンFT4およびFT3、抗TSHレセプター抗体)をします。TSH異常値と判明した場合、再検査等施行し内科受診をすすめています。
卵巣予備機能検査(自費)
- 抗ミュラー管ホルモン(AMH)
( )ng/ml発育初期過程にある卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣予備能(残っている卵子数を反映)を知る指標と考えられています。1以下は予備能低下。PCOSでは高値を示します。治療計画の指標として、また体外受精(ART)のための卵巣刺激法の選択にも有用です。
免疫学的検査(自費)
- 抗核抗体
(40倍未満、 倍)正常は40倍未満。高値の場合(160倍以上など)では、膠原病(自己免疫疾患)の可能性も否定できないため、更に精密検査(抗dsDNA抗体、抗SS―A抗体、甲状腺自己抗体抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体など)を行うことがあります。精密検査で異常があった場合(各全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、橋本病の疑い)や強陽性の場合(1280倍以上など)は専門内科にご紹介します。40~80倍陽性では、ほとんどの場合、精査しても異常がみつからないため経過観察としています。
- 抗精子抗体
(陰性 陽性 強陽性)抗精子抗体が頚管粘液中にも分泌されると、精子の頚管粘液通過性が著しく障害されます。また、子宮から卵管への通貨も障害され受精障害をおこす場合があります。強陽性の場合、体外受精が必要となります。不妊女性の1%以上に陽性です。
- クラミジア血清抗体検査
(IgG − + , lgA − +)(自費または保険適応)
IgG単独陽性は感染既住を示します。IgA陽性の場合は、活動性感染を意味し、最近の治療歴がなければ、抗生剤(ジスロマックなど)による除菌(パートナーとともに)が必要です。卵管や腹膜でのクラミジア感染があっても、子宮頚(膣)部のクラミジア検査で陰性のことがあります。IgA陽性では、卵管通過性良好でも、タイミング・人工授精の妊娠率は低下します。
- 風疹抗体検査
ご夫婦で検査を受けてください。(自治体助成制度有り)
- 空腹時血糖
( mg/dl)&インスリン( μU/ml)& HOMA( )
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われる場合や肥満、過体重の方を対象に行います。
インスリン抵抗性の指標(HOMA指数:空腹時血糖値×インスリン÷405=
(≦1.6未満正常、2.5≦抵抗性あり)1.6<の場合には、食事運動療法がすすめられます。また、排卵障害(PCOSなど)がある場合、排卵誘発剤とインスリン抵抗性改善薬(メトグルコ)内服の適応があります。糖尿病が疑われる場合はHbA1C測定します。
JISART多施設共同研究データー
今回測定されたAMH ng/ml
年令で非常にばらつきが大きいことが知られています。月経周期のどの時期に測定しても変わりありません。
Age |
AMH(ng/ml) |
n |
Under27 |
5.77 |
331 |
28-29 |
5.58 |
498 |
31-31 |
5.23 |
774 |
32-33 |
4.61 |
1023 |
34-35 |
3.65 |
1383 |
36-37 |
3.02 |
1398 |
38-39 |
2.40 |
1289 |
40-41 |
1.72 |
1051 |
42-43 |
1.33 |
604 |
44-45 |
0.81 |
247 |
46 over |
0.53 |
88 |
卵巣予備能とは、残存する卵子の“推定される”在庫数を意味します。卵巣と男の方の精巣とは次の点で決定的に異なります。つまり精巣は(年令による生産力の衰えはあるものの)一生精子を作り続けますが、卵巣は生まれた時点で200万個の卵子があり、生殖期にはその10分の1になり、その後最大で1ヶ月約1,000個、日々30~40個ずつ確実に減少していきます。卵巣は卵子を作るところでなく保存しているところといえます。
卵巣予備能がかなり低下している場合、漫然とタイミング療法を続けないで人工授精治療、場合によりすぐにART(体外受精など)へステップアップすることをおすすめします。AMHが高値となっている場合は、PCOSが典型的であるように、排卵障害を伴っていることが多いとされています。妊娠のためには排卵誘発療法が薦められる場合があります。
体外受精における卵巣刺激法の選択において重要な目安となります。AMHが1未満では、高卵巣刺激でも多くの卵獲得は期待できずクロミフェンによる低卵巣刺激法やフェマーラによる低~中卵巣刺激などが推奨される場合があります。
各種検査の流れ
1.薬、注射による排卵誘発
排卵のない方はもちろん排卵があっても妊娠に至らない方、当院では3ヶ月タイミング治療しても妊娠しない方におすすめする治療です。内服薬と注射薬があります。卵巣を刺激することにより卵胞の発育をうながし、その質を高める作用が期待できます。
内服薬
- セキソビット
月経周期3~5日目から1日4~9錠5日間の内服です。排卵誘発効果やや弱めですが、頚管粘液の減少や内膜の菲薄化は認めません。
- クロミッド
月経周期3~5日目から1日1~2錠5日間の内服です。3錠は保険適応がありませんが、使用は可能です。頚管粘液の減少や内膜の菲薄化が副作用であらわれる人がいます。
1周期休薬で正常化します。
- フェマーラ
月経周期2~3日目から1日1錠5日間の内服(レトロゾール)です。卵胞発育を促しますが、平均1~2個くらいで多くの卵胞発育は期待できませんが、クロミッドのように頚管や子宮内膜に対する副作用は強くありません。多嚢胞性卵巣症候群への使用、クロミッド等使用すると副作用が強く出現する
方、又当院では体外受精での排卵誘発や胚移植時にも使用しています。
保険適応がありません。1錠300円です。
注射薬
- 遺伝子組み換え型FSH製剤 ゴナールF
月経周期3~5日目から1日50~300単位を連日注射します。原則自己注射で注射時の疼痛はほとんどありません。連日の通院治療ができない方には最適です。多嚢胞性卵巣症候群に多く使用されます。高価ですが、通院時間等の短縮はフルタイムで仕事をしている女性には便利な注射です。
- 尿由来HMG製剤 ゴナピュール・HMGテイゾー
月経周期3~5日目から1日75単位又は150単位を連日注射又は、他の内服薬と併用し1日おき注射もできます。自己注射ではありませんので通院が必要です。反応が不良の場合は300単位まで保険適応です。
☆ 内服又は注射使用の場合は超音波検査で卵胞発育をチェックし、HCGで排卵を促します。内服の場合はその限りではありませんので排卵のタイミングを卵胞の大きさで予測したり、血液中のホルモンを測定して排卵日の予測や卵胞の質を調べることもできます。
☆ 多胎の確率はクロミッドで約5~7%、注射薬で10~20%といわれています。注射薬で排卵誘発する場合は多胎予防のため4ヶ以上の卵胞が認められた場合は、タイミング、人工授精等をキャンセルします。
☆ 排卵後の黄体サポートは注射での排卵誘発では行います。(デュファストン、ルトラール等)内服薬では原則使用していません。ただし、人工授精の後は黄体サポートを行っています。
☆ 卵巣過剰刺激症候群の予防
注射による排卵誘発をし、HCGを使用した後、卵巣が腫れ、腹水、胸水等が貯蓄する重篤な副作用です。この周期に妊娠した場合は重症化しますので発症の可能性がある場合は早期に治療して予防します。当院では、卵巣の腫大のチェックや血液検査を頻回に施行し、点滴等を施行したり、カバサールという薬を早期から内服していただくようにしています。
2.人工授精
精子に異常のある方{数が少ない(15×10⁶>)運動率が低い(40%>)}、子宮頚管粘液の分泌がほとんどない、全くない方で性交後検査が陰性の方、(男性女性も含め)性交障害のある方、原因不明で一通りの治療が終了している方等が対象となります。御主人に採取していただいた精子を、洗浄濃縮して子宮膣内に約0.5ml注入します。痛みや出血が伴うこともありますが、妊娠率には影響しません。妊娠率は一般に5~10%といわれています。一般的には7回以上施行しても妊娠率は上昇しないため、6回までが推奨されています。費用は10,000円~13,000円(自費)です。精液検査は毎回施行し説明いたします。
3.体外受精(高度生殖医療)
人工授精を含めた様々な治療を行っても自然に妊娠できない方、又はできにくい方に提供する治療法です。出生児の26人に1人の割合で誕生し年々増加傾向にあります。昨今の晩婚化の影響かもしれませんが一番最短で妊娠したいという御夫婦もいらっしゃいまして、何の検査や治療もせず体外受精を選択し、妊娠出産するケースもあります。又いつ出産すべきかいつ出産できるか等悩んでいるうちに何年も経過し、40代近くで体外受精しかないと選択するケースも増えています。体外受精へのステップアップに対しては以前ほどの壁はなくなりましたが、高額な治療費に抵抗を感じたり、経済的な負担で二の足をふむ御夫婦も現実にはあります。御夫婦で十分相談の上での治療をすすめます。仕事か子供かと悩むキャリアウーマンの方も、通院治療時間の負担の少ない方法もあります。患者様のニーズにあわせた治療のスケジュールを提供させていただきます。
外来担当表